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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2016年5月16日
第97回 ししとびのかっぱ(2/2話)

 へー吉は馬の尻尾につかまったまま、飛び降りることもできず、とうとう馬小屋まで来てしまいました。馬小屋についた馬は、尻尾に何かくっついていることに気付き、おそるおそる後ろを振り返りました。すると妙な顔をしたものがくっついているではありませんか。
「おまえは誰だ」
 馬がびくびくしながら尋ねると、へー吉は弱々しく言いました。
「いたずらをして川の中へ引きずり込もうとしたけど、反対に引っぱり上げられてしまった。頭の皿の水がなくなると身体の力が抜けて死んでしまう。尻尾につかまって
いた時に振り回され、皿の水がこぼれてしまった。頼むからもう一度ししとびへ連れていってくれ」
 この様子を小屋の窓から見ていた甚平は怒り出しました。
「お前はいつも村人を困らせる。勘弁ならねぇ」
「そんなこと言わないで許してくれ。もういたずらはしないから」
 へー吉は何度も泣きながら頼みました。皿の水が無くなったへー吉は、体の力が抜け、さらに弱っていきました。
 さすがにかわいそうになった甚平は、へー吉をししとびへ帰してやることにしました。へー吉は何度も礼を言って、馬の背中に乗せてもらい、帰って行きました。 二、三日後、甚平がししとびへ行くと、へー吉が大きなうなぎを持って現れました。
「この間は助けてくれてありがとう。お礼にどんな病気でも治る、うなぎの練り薬の作り方を教えよう」
「それは有難い。村には病気の人も沢山いるから、早速作って持っていってやろう」
 甚平は、病気や体の弱い人に練り薬を分けてあげました。おかげで村人は元気で幸せに暮らしたということです。
−おしまい−

●このお話は、福光地域公立保育園が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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