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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2016年8月16日
第100回 石坂のかんのんさま(2/2話)

 ある年のこと、一晩中強い風が吹き、嵐になりました。ようやく嵐が静まって、孫六が外に出てみると…。
「大変だ、蔵の屋根がないぞ。あの石はどこだ」
「あれがなくなると災難が起きる。探さなくては」
 孫六や近所の人たちがあちこちと探しましたが、桐の箱の中にあった石は見つかりませんでした。それから何日も経ち、孫六は石のことをすっかり忘れていました。
 ある日、孫六と村の人がお堂の前を通り掛かると、いつのまにか観音堂の中にあの丸っこい石が入っていました。みんな手を合わせて拝みました。
「どうしてこんな所に。いつの間に、誰が持ってきたんだろう」
 
 それから時は流れ、大事な観音様の石は、観音堂からしばらく孫六の子孫の家に移さ
れることになりました。
 ある晩のこと、家の主人の夢に観音様が現れて、こう言いました。
「今まで大事してくれて有難う。観音堂に戻りたい」
 驚いた主人は急いで観音様を元の場所に安置しました。
 それから石坂の人たちはこの観音様のことを『火難(かなん)観音様』と呼んで、今も大切にしています。毎年八月十七日には、観音堂の前に集まってお参りし、高宮の比賣(ひめの)神社の神主さんにお祈りしてもらうことにしています。おかげで昔から石坂では、一度も火事が起こらないということです。
―おしまい―

●このお話は、福光地域公立保育園が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


「観音堂に戻りたい・・・」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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