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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2016年9月16日
第101回 木鐘で鳴らん(2/2話)

「こりゃ、しもたわい。でっかい釣鐘を買わにゃ、おらは村へ帰れん」
 太郎平は町中を探し回り、やっと釣鐘屋を見つけました。
「おら、これだけの銭を持っとんがやけど、でっかい釣鐘買えるけ」
「そんなちょこっしでは売れんね」
「そんなら、あの店の前にぶら下がっとる釣鐘を売ってくれっしゃい」
「ああ、あれなら売ってもいいぞ。でもあの鐘は店の看板に作ったもんで、木でできとるさかい、叩いても鳴らんぞ」
 太郎平は仕方なく、木でできた釣鐘を買って村へ戻りました。門徒衆は、釣鐘を見て大喜びしました。
 そして、ほんこさんの日がやってきました。撞き初めなので、村一番の美人が撞くことになりました。赤いタスキに鉢巻をきりっと締めて、釣鐘堂に上がって行きました。門徒衆はどんな良い音が鳴るのかと、胸をドキドキさせていました。
 ところが、釣鐘は木でできているので、今にも壊れそうな音が出ました。若い衆が代
わる代わる撞いても同じだったので、太郎平を呼びに行きました。
 太郎平は、みんなに合わせる顔がなくて、布団をかぶって寝ていました。そして小さ
な声でこう言いました。
「木でできとる鐘やさかい鳴らん。木鐘で鳴らん」
 それ以来、このあたりでは「申し訳ない」ということを、「気がねでならん」と言うようになったそうです。
−おしまい−

●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


「木鐘で鳴らん、気がねでならん・・・」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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