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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2018年6月15日
第15回 金塚の宮(2/2話)

「この木の根元だったな」、ザックリ、ザックリ。
 おじいさんは掘っていきます。ザックリ、ザックリ。少し離れた木の陰には、後を追ってきたおばあさんがそっと立っています。
「おじいさんは何でも私に話してくれるのに、これは一体どうしたことだろう。何を掘ろうとしているのかしら」。しかしおじいさんはザックリ、ザックリ、一生懸命に土を掘り続けています。
 「カチリ」、おじいさんの鍬を持つ手が止まりました。何かを鍬の先に感じたのです。六十センチほど掘ったところでした。ソロソロと鍬はなおも動き、とうとう大きな陶器が出てきました。九リットル(5升)も入るものです。
 夢のお告げは本当のことだったのか、急いで蓋に手をかけたその時、おばあさんが木の陰から駆け寄ってきました。
「おじいさん、それは一体何ですか?」
 その時です。目の前の水がめは、まばゆいばかりの鶏の姿に変わり、悲しそうにおじいさんを見つめていたかと思うと、大きくはばたき、東の空へと飛び去っていってしまいました。
 後に残されたおじいさんとおばあさんは、水がめの中にあったであろう黄金が、手の届かない所へと去ってしまったことへの種々の思いが、頭の中をかけめぐったことでしょう。
 しかし、その後も二人は仲睦まじく、正直で思いやりのある一生を送ったということです。
 黄金の眠っていた東の宮は、それからは金塚の宮と呼ぶようになったのです。
―おしまい―

注・・・元東の宮跡には、現在石碑のみが立っていて、碑には「金塚の宮跡」と刻まれている。明治41年には、苗島神明社に合祀された。伝説のケヤキの木は、苗島神明社の社殿の用材となっている。


「あの時は本当にすまなかった…」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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