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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2018年11月1日
第20回 がごづか(1/2話)

 昔、宗守のお宮さん(※1)にお城があったとおー。殿様と若い綺麗な奥方が住んでおられ、百姓の暮らしにもよく気を付けられ、みんなに慕われていたそうな。
 ところが隣の国が勢力を伸ばそう何倍もの侍たちが攻めてきたが、その時殿様には三歳と生まれたばかりの赤子がおられたそうな。
 殿様は奥方に、
「とても今度の戦いは勝ち目がない。お前はこの子どもを連れて、この家来の里へ落ち延びてくれ」
「私は殿様とご一緒に戦いとうございます。最後までお供させてください」
「それはならぬ。この後、誰がこの子どもを育てるのだ。何としてもこの子たちを育て、家名を再興してくれ。これがわしの最後の頼みだ。聞き分けてくれ。無事落ち延びてくれ」
 奥方が赤子を、家来が三歳の子を背負って家来の実家へ向かったが、そこも既に敵方に囲まれており、近づくこともできない。
 仕方なく宗守に戻ったが、城はもう火に包まれていたそうな。
「ああ殿様はもう!!」、奥方は声も出ない。
 ずっと背負い続けて、乳も飲ませていない赤子が気になって降ろしてみると、赤子はぐったりしていて、乳を飲もうともしない。もう虫の息(※2)で、次第に弱っていくがどうすることもできない。思い余って穴を掘って赤子を埋め、西の方に逃げようとしたが、奥方はもう歩く体力も気力もなくなって、
「私はもう駄目です。殿様と赤子の元へ行きます。この子を頼みます」
−つづく−

※1宗守のお宮さん・・・宗守神明社
※2虫の息・・・弱り果てて、今にも絶えそうな呼吸。また、その状態。


「産まれたばかりだというのに…」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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