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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2018年12月9日
第21回 身代わりになった鯉(2/4話)

 しかし、しん坊が覆いかぶさっているので、子どもたちは石を投げられません。そのうちにわんぱく頭の子どもはあきらめたのか、
「なんちゅうだらなしん坊や。仕方ないわ、その鯉お前にくれてやるわい」
といって、みんな帰ってしまいました。
 しん坊は傷ついた鯉をなでながら、流れに放してやりました。水に放された鯉は、うれしそうにしっぽをひらひらさせながら、やがて深い水底に見えなくなってしまいました。
 そんなことがあってから、夏も終わり、秋もすぎ、やがてお正月がやってきました。
 ところがどうしたことか、正月の三日からしん坊は急におなかが痛くなったのです。だんだん痛くなるばかりで、薬を飲みましたが少しもよくなりません。その上、高い熱も出て、苦しくなるばかりです。
 お父さんも、お母さんも心配でたまりません。お父さんはいいました。
「しん坊、正月になったからちゅうて、何でもでっかいと食べるさかいじゃ」
 お母さんはそれを聞いて、
「父さん、お腹の痛いしん坊をいくらやめつけても(※)あかんわいね。それよりもう三日も痛いまんまや。神様にお参りして、早よなおるように願かけたらどうやろ」
 こうしてお父さんとお母さんは、神棚の下に立って一生懸命お祈りしました。
―つづく―

※やめつける・・・叱る


「神様にお参りして、早よなおるように願かけたらどうやろ」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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