トップ > よみもの > となみ野 むかしがたり

となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2019年10月16日
第32回 瓜裂しょうずと金屋ねぎ(2/2話)

 この話を聞かされた久蔵は、さっそくねぎ畑へ案内しました。そして、一番活きのいいものを十本ばかり掘りおこし、近くにあったこも(※)に巻いて伊助に渡しました。それからさらに久蔵は、二人を瓜裂清水へ案内していきました。
 「さあ、伊助さん。この清水はいくら汲んでもなよならん。いっぱい持っていきなはれ」
 伊助夫婦は「ナンマンダブ、ナンマンダブツ」といいながら清水を飲み、持ってきた水甕にもいっぱい入れました。
願いがかなった伊助は、「そんでは代金、どれぐらいおあげすりゃいいかの」と喜びながらいいました。久蔵はいやいやと手をふりながら、
 「そんなものいいですちゃ。弘法様からいただいたねぶかの種もなんかの因縁や。それよりも、はよう帰って、娘さんの病を治してあげなはれや」
 これを聞いた伊助夫婦は大変喜び、涙を浮かべて、清水のそばのさいせん箱におさい銭を入れ、帰り仕度をしました。久蔵はなおも親切に、二人を庄川の藤掛の渡し場まで送って行きました。そしてもう一度、娘が一日も早く元気になるように祈りました。
 それから暑い夏も過ぎ、後の山のもみじが赤くなり、庭のゆずも黄色く実りました。そんなある日、伊助は元気になった娘をつれて、再び岩黒へやって来ました。娘は年ごろに近い、美しくやさしい子で、久蔵にていねいにお礼をいいました。三年後、この娘が久蔵の働き者の息子の嫁になったのも、弘法大師様のお引き合わせだったのでしょうか。
―おしまい―

※こも・・・藁(わら)やイグサなどの草で編んだ簡素な敷物。むしろ


清水のそばのさいせん箱におさい銭を入れ…。


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
e-mail info@e-tonamino.com
URL

Copyright (c) Tonami Satellite Television Network All rights reserved.