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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2019年11月1日
第36回 杉の峠のおたすけじぞう(1/2話)

 むかし、上梨から城端へ出るときには、「杉の峠」を越えて歩いていったものです。上梨の人は、この峠のことを「すぎんとげ」と呼んでいました。今では下に国道のトンネル(※1)が通り、峠道を歩く人はほとんどいません。峠には、昔から大きな杉の木と、その下にお地蔵様がありました。
 道行く人は、必ずお地蔵様におまいりして、木陰で一息入れたものです。また大きな杉の木は、上り下りの目印にもなっていたので、雪の深い日などには、ようやくここまでたどりついて、やれやれとひと休みしたといいます。
「お地蔵様、ありがとうございます。無事にここまで参らせてもらいました」
 お地蔵様は、やさしいお顔で、いつでも旅人をじっと見守っておられました。
 ある年の冬。雪がことさら深い二月のことでした。菅沼村の北のおじいさんが、
「こりゃなんとひどい吹雪じゃ。城端から来る人が、なだれにあわんときゃ良いがにのぅ」
 そうつぶやきながら、峠をくだってきました。
 その時です。どこか遠くのほうから、「おーい、おーい」と呼ぶ声がします。
「いったい誰じゃろか?」
 北のおじいさんは、声のするほうへ急ぎました。
―つづく―

※1国道のトンネル・・・国道156号線 上梨トンネル

このお話は、南砺市立平図書館が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


必ずお地蔵様におまいりして、木陰で一息入れたものです。


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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