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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2020年2月1日
第39回 ヘクサンボ(1/2話)

 むかしむかし、上畠(うわばたけ)に正直で気の優しい兵九郎(へいくろ)という人がおった。朝の早くから夜遅くまで一生懸命働いたが、暮らし向きはなかなか楽ではなかった。
 ある時、兵九郎は万世橋(まんせばし)を渡って家へ帰ろうと、橋の真ん中まで来たがいと。ひょいと川の方を見ると、川原の真ん中に茶色で小さいものがねまっとった(※1)と。川原まで下りて行って、よく見るとかわうそやった。足から血が出て、動けんようになっとった。
「かわいさげ(※2)に。今、血を止めてやるさかいな」
 兵九郎は、きれいな水で川うその足の傷を洗い、持っとった手ぬぐいを引き裂いて包帯にして、足を縛ってやったと。助けてもらった川うそは、とても喜んで礼を言うたと。  
「このお礼に、もしあなたにお困りのことがありましたら、この川の渕へきて願い事を言って、ポンポンポンと手を三回鳴らしてください。どんなことでもきっと叶えてあげます。でもこのことは決して誰にも言わないでください」
 かわうそはこう言うと、川の渕へ消えていった。
「不思議なこと言うわい。そんでもいいことしたら、ほんと気持ちええもんやな」
兵九郎はそう言うと、暗くなりかかった山道をせだいと(※3)家へ帰っていったと。
 次の日、また万世橋の上を通りかかった兵九郎は、ふと昨日かわうそに言われたことを思い出して、願い事を言ってみた。
―つづく―

※1ねまる・・・座る
※2かわいさげに・・・かわいそうに
※3せだいと・・・急いで


「かわいさげに。今、血を止めてやるさかいな」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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