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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2020年2月16日
第39回 ヘクサンボ(2/2話)

「この手にいっぱい白い米あったらいいな。白いまま(※1)、腹いっぱい食いてえぞ」
と言うて、ポンポンポンと手を三回鳴らして、両手をいっぱいに広げてみた。するとあーら不思議、白いお米があふれんばかりに手のひらいっぱいに乗さっとった。腰の手(て)ご(※2)の中へそっとこぼさんように米を入れた。兵九郎は辺りを見回し、誰もおらんこと確かめて、せだいと家へ帰っていったと。
 こうして人の通らんような夜とか朝早くに、兵九郎は毎日のように万世橋の上に来て、かわうそに願い事を言うたがいと。それから兵九郎の家は、だんだんと身の上がよくなって、とうとう村一番の大きな家も建ててしまった。家の裏には、蔵もいくつか建ち、年に一つずつ建て増していったそうな。だんだん身の上がよくなっていく兵九郎さんに、ある時村の人が聞いたがいと。
「兵九郎さんちゃ、何してそんなに儲けはったがけ?」
兵九郎はかわうそとの約束をすっかり忘れ、ついうっかり話してしもたがいと。
 さあ、大変!!大きな御殿のような家や、いくつもの蔵にいっぱいあった宝物が、みーんなヘクサンボ(※3)になって、飛んでいってしまった。そしてとうとうむかしの貧しい兵九郎に戻ってしもたがいと。ヘクサンボがでかいとおるがは、兵九郎の宝物がでっかいとあったということかいな。
―おしまい―

※1まま・・・ご飯
※2手ご・・・手かご
※3ヘクサンボ・・・カメムシ

このお話は、砺波市庄川町のボランティアグループが制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


みーんなヘクサンボになって、飛んでいってしまった。


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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