トップ > よみもの > となみ野 むかしがたり

となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2020年3月1日
第40回 法師の夢塚(1/2)

昔、安居寺の門前に、和泉屋(いずみや)市右衛門という木こりが住んでいました。
 秋風がそろそろ吹く九月半ば、市右衛門は冬に備えて薪を作る木を切りに、安居寺の奥の菅の山深くへ入っていきました。そして、滝寺の近くで大きな木の古株を見つけて掘り始めると、「カチン」と鍬の先に当たったものがありました。
 「さて!!何だろう」と思いながら掘り続けていくと、土の中から鉦鼓(しょうこ)(※1)と錫杖(しゃくじょう)(※2)が出てきました。なかなか立派なもので、身分の高い人の持ち物だったのかもしれません。
「こんな土の中から。不思議なこともあるものだ」
 市右衛門は二つの品物を家に持って帰りました。
 次の日、市右衛門は昨日と同じ場所で木を切り、やがてお昼の弁当を食べると、斧を枕にウトウトと寝てしまいました。
市右衛門は夢を見ました。
 一人のお坊さんが現れて、こう言いました。
「二つの品は、私が昔、ここに埋めたものです。世の中が騒がしく、煩わしいことばかり、この身を隠すにも安らかな気持ちになれない」
 そして悲しそうな顔をして、和歌一首を詠み上げました。
−つづく−

※1鉦鼓・・・雅楽に使う打楽器。叩き鐘ともいう。
※2錫杖・・・修験者が持つ杖のこと。


「不思議なこともあるものだ」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
e-mail info@e-tonamino.com
URL

Copyright (c) Tonami Satellite Television Network All rights reserved.