となみ野ストーリー 第5回.福井でとなみ野の家が見られる!
●散居村とアズマダチ民家 砺波平野は散居村という、全国的にもめずらしい集落形成をなしている土地としてよく知られています。その散居村の代表的な民家として「アズマダチ」という建築形態のものがあります。アズマとは「東」という意味で、家の正面部分の三角形の面(建築用語で妻といわれる)がほぼ東に向かって建てられていることからそうよばれるようになりました。そんな「アズマダチ」民家が、福井県あわら市の吉崎でも見ることができます。 吉崎にある「蓮如上人記念館」の一角を構成する「民話館」の建物が、実は以前砺波市にあった「アズマダチ」の民家、根尾家のものでした。庄下村矢木地区(現在の砺波市矢木地内)にて、明治14年に建てられたものです。
●「根尾家」とは? そもそも根尾家は遠い祖先が関東武士であったといわれ、戦国時代に織田信長の家臣として越前大野郡に領地を得て、帰農したのが根尾家の始祖とされています。そして江戸時代から終戦まで、砺波の豪農として知られる名家でした。戦後になって根尾家の若い世代は、この大きな家を維持が大変ということから、続けて住むかどうか思案していました。家には愛着がありましたが、三人家族ではカイニョの世話や家の掃除もままならないので、この大邸宅を手放したいと考えていたのです。 この家が歴史的価値があるものだと考えた砺波市では、文化財として保護することも思案しました。しかし解体から移築、そして完全復元するまでには当時の金額で約一億円以上かかることから、市も断念せざるを得ませんでした。昭和五三年の秋、民間の建設会社に買い取られて吉崎に移されました。 ちなみにこの「民話館」では、吉崎地方で語り継がれていた民話などが、ジオラマやイラストパネルで分かりやすく紹介されています。
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福井へ移築する前、米国の巨大財閥のロックフェラー財団が買い上げる話もあったのです!
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