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初開催の「公募2016アートハウス おやべ現代造形展」で大賞に輝いた、森田志宝(もりた・しほ)さん
 
2017年3月24日 小矢部市 スポーツ・文化







■漆の新たな魅力創造したい
 表現の可能性に満ちた漆と糸を素材に創作を続ける。「アートハウスおやべ現代造形展」(北日本新聞社共催)の大賞作「沈黙のゆくえ」もその一つ。漆を塗った絹糸約200本を使い、空間造形に挑んだ。沈黙の静けさを表すように天井から真っすぐに垂れ下がった糸が、床では沈黙の内面に広がる感情の乱れを表すようにうごめく。

 漆を塗った「漆糸」は黒光りしてつやを持ち、所々に自然にできた漆玉が表情を付ける。「漆は好奇心をかきたててくれる素材。漆の新たな魅力や価値を創造したい」。

 京都府京田辺市に生まれた。京都市の美術高校で漆芸を学び始め、富山大芸術文化学部に進学。4年前から「漆糸」を用い、さまざまなジャンルに挑戦してきた。2013年にグループ展、14年に個展を経験し、作品は「美の祭典 越中アートフェスタ2014」で優秀賞を受けるなど若手作家として注目を集める。

 昨年3月に大学院を修了し、漆の基本をもう一度学びたいと山中漆器職人の世界へ。石川県加賀市の会社で修業し、1日におわん100個を塗ることも。「産地の仕事を経験しながら作品に影響も出てきたら」と意欲を見せる。

 ロックコンサートに出掛けることが唯一の趣味。「基本的に作品のことを考えている脳みそだから」と笑う。夏には初めて富山以外で個展を開き、来年はアートハウスおやべで個展が決まっている。大賞受賞を弾みに「いつか海外でも見てもらう機会をつくりたい」と夢を語る。加賀市の一戸建て職人寮で同期と2人暮らし。26歳。(小矢部支局長・吉田博昌)

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