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統合庁舎結論、どう導く まず2庁舎、段階論も
 
2017年7月26日 南砺市 地域・社会






■住民感情絡み複数選択肢
 南砺市の庁舎統合の在り方を検討する市議会全員協議会は、四つの分庁舎のいずれかを統合庁舎として活用することで合意し、統合への手法が今後の議論の焦点となる。即座にひとまとめにせず、まずは2庁舎とするなど段階的な統合を求める声も上がっており、複数の選択肢の中から、多くの住民が納得できる結論をどう導き出すかが問われる。(南砺総局長・宮田求)

 この合意により、市議会は新たな庁舎建設という選択肢を除外、初期投資抑制を最も重視してきた田中幹夫市長と歩調を合わせた形だ。合併特例の期限切れを迎える2020年度以降に深刻な財源不足に陥るという財政事情から、「庁舎に多くのお金をつぎ込む余裕はない」という理解が多くの議員に広がったことが背景にある。

■議論の本丸
 今後の当面のテーマは統合手法と時期で、才川昌一議長は「議論の本丸」と位置付ける。福野、福光、城端、井波の各分庁舎のいずれを選ぶかを巡っては、各地域の住民感情が絡み、特に「南砺の中心」と自負する福光、福野両地域で、それぞれの地元での設置を望む声が強い。

 庁舎の増築などに要する初期投資の見込みは、最も新しい福光庁舎が約9億7千万円と最も安く、最古の福野庁舎は約14億9500万円と割高。残り耐用年数も福光は29年、福野が7年と、福光に有利な材料がそろう。

 一方、福野地域の議員は複数の大手企業が立地していることや、将来人口が旧4町で最多となる推計を重視。「人の動きが活発な地域こそ、庁舎設置場所にふさわしい」(長井久美子副議長)と強調する。これに対し、福光地域の議員は「金沢市(のにぎわい)を南砺市のまちづくりに取り込むべきだ」との理由から、金沢と隣接する福光の優位性を訴える。

■引き分け
 両地域の主張が平行線をたどる中、10日の協議で井波地域の議員から示されたのは段階的な統合というアイデアだ。南砺総合高校井波高校がなくなった後、まちの活力が低下したとし、「いきなり一つにしてそういう状態にするのではなく、まずは二つ(の庁舎)という方向性を考えてもいいのではないか」と投げ掛けた。両地域の「引き分け」による決着という意味合いも込められている。

 才川議長は「一つに(統合)するにしても、やり方はいくつかある」とし、多様な選択肢の中から落としどころを探る考えだ。8月中に2回協議を行うことにしており、「9月定例会までに、できるだけ議論を進めたい」と言う。

 唯一の会派、自民クラブ会長の片岸博氏は来年度予算での関係費用計上を視野に、「12月までに結論を出さなければならない」としている。

 田中市長は、8月にどの程度方向性が示されるか見定める構え。市議会側から、あらためて意向を問われる局面も想定される。

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