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「堆積工」来月完成目指す 利賀地滑り発生から1年半
 
2018年7月13日 南砺市 地域・社会






 南砺市利賀村上百瀬の旧利賀スキー場で、2017年1月に大規模な地滑りが発生してから16日で1年半。県はゲレンデ下部で土砂を食い止める構造物の整備を進め、8月の完成を目指している。発生地など上部の崩落防止工事も11月末までに終了する見込みだ。工事の進展に合わせ、県道の通行止めや避難勧告解除の時期が焦点となる。

 ゲレンデ下部に造るのは、コンクリートブロックを積み上げた壁のような構造物で、「堆積工」と呼ばれる。地上部分は最大で高さ約9メートル。下部にたまっていた土砂約6万5千立方メートルを取り除いて工事が行われ、現在は65%まで進んだ。県砺波土木センターの岩井光彦工務第二課長は「8月までに終えたい」としている。

 完成すれば、上部から流れ落ちる土砂をこの壁で食い止め、約5万6千立方メートルをためられるようになる。

 ゲレンデ上部では、地下水を抜き取る排水ボーリングが終了し、鋼製の枠に石を詰めて積み上げる「土留(どどめ)工」の整備が進む。春先の雪解けや今月5日の大雨でも目立った土砂の流下はなく、崩壊防止の効果がうかがえる。

 7月中に不安定な土砂の排出をほぼ終える計画で、県砺波農林振興センター森林整備課は「斜面の安定感がさらに増す」とみる。発生地では、鉄筋の枠にモルタルを吹き付けた格子状の構造物を、アンカーや鉄筋で固定する工事に取り組み、11月末までの完成を目指す。

 ゲレンデ下を通る県道は今も通行止めのままで、住民らは迂回(うかい)路での通行を余儀なくされている。県は工事による安全性確保の度合いなどを見極めつつ、通行止めを解除できないか検討する。

■2世帯4人、避難生活続く
 旧利賀スキー場の地滑りで避難勧告を受けた5世帯8人のうち、転出した人らを除く2世帯4人が今も南砺市利賀地域の県施設で避難生活を続けている。

 市は勧告解除に向け、「県道の通行止めが解除されるかどうかが判断の目安となる」(防災危機管理係)としており、今後も県の動向を見定めていく考えだ。

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