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活動3年、伊料理店開業 南砺の元地域おこし協力隊員井上さん
 
2018年7月18日 南砺市 地域・社会






 南砺市の地域おこし協力隊出身の井上浩延さん(38)が同市広安(福野)で、アズマダチの古民家を改装してイタリア料理店をオープンさせた。協力隊時代の3年間を通じてできた人々とのつながりが起業を後押しした。

 地域おこし協力隊は、人口減に悩む地方に都市部などから人材を受け入れ、外部の視点を生かして活性化に貢献してもらう事業で、活動期間は最長3年間。南砺市は2012年から受け入れ、出身者は9人。このうち4人が市内に定着し、起業にこぎ着けたのは今回が初めてとなる。

 イタリア料理店を開いた井上さんは、北海道や神奈川でのイタリア料理店勤務を経て、南砺市へ移り、15年4月から18年3月まで、協力隊員として活動。移住・定住促進の担当として体験ツアーの企画に携わったほか、地元産の食材を使った料理教室も積極的に開いた。「料理を通じて、皆さんに郷土の良さを感じてほしい」と願ったからだ。

 自分で店を開きたいという夢があった。それを語る様子が17年6月の北日本新聞に掲載されたのをきっかけに、同市広安、会社経営、西能徹さん(57)が、自宅と隣接する実家での開業を提案した。

 築約100年の古民家で、カウンターや調理場を設置。耐火れんがでピザ窯を造った。地元の塩こうじを生地に練り込んだピザは、甘みと軽やかな食感が特長だ。ナラのまきを燃料に焼き上げるため、独特の香りも楽しめる。

 「Cucina Nobu」(クチーナ・ノブ)の名で、今月7日にオープンし、妻の弥沙子さん(34)らと共に運営。料理教室を通じて出会った人や、口コミで評判を聞いた人から予約が相次ぐ。「3年間の活動で顔見知りが増え、(起業の)下地ができた」と、協力隊の実績が土台になったことを強調する。

 店の改装や設備投資に当たっては、市の起業家支援事業の補助を受けた。地域住民や行政からの幅広い支援が夢の実現につながった。

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