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米国がセラピーに公的保険 南砺発のロボ「パロ」
 
2018年10月16日 南砺市 地域・社会






 南砺市で製造されるアザラシ型癒やしロボット「パロ」を使ったセラピーが、米国の高齢者や障害者向け公的医療保険の適用対象になった。副作用の心配がない安全な非薬物療法として米国政府からお墨付きを得た形で、普及にさらに弾みがつきそうだ。 

 米国では以前から医療現場でパロが活用され、現地の研究者によって患者の痛みやストレス、うつなどの症状を緩和させる治験結果が発表されている。開発者である産業技術総合研究所(茨城県)の上級主任研究員、柴田崇徳さん(51)=南砺市城端地域出身=も米国の保健省が主催するサミットでセラピー効果のエビデンス(科学的根拠)を説明するなどしてきた。こうした積み重ねが米国政府から評価されたもようだ。

 セラピーが普及すれば投薬の機会が減り、患者にとっては副作用による健康被害の回避に加え、経済負担軽減のメリットがある。保険適用は今年から始まり、認知症、パーキンソン病、がんや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの患者が対象。患者は医師らから「1回20分、週3回」などの形でセラピーの処方を受け、パロと触れ合う。

 パロは2005年に日本で発売が始まり、現在は5千体超がアジアや欧米など30カ国以上で使われている。柴田さんは「エビデンスを示して医師や看護師に効果を理解してもらい、さらなる普及に努めたい」と話している。

 柴田さんは今月、ニュージーランドの財団が2015年に創設した「ライマン賞」を受賞した。歴史は浅いが、ノーベル医学生理学賞受賞者らが審査員を務めるなど高齢者医療福祉分野における世界最高峰の賞とされ、ジャシンダ・アーダン首相から表彰を受けた。日本人として初の受賞となる。

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