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南砺の天然記念樹木8割異変 日本樹木医会県支部、維持管理へ独自調査 
 
2019年2月14日 南砺市 地域・社会







 日本樹木医会県支部(山本栄支部長)は、南砺市内で天然記念物として指定されている樹木32本の調査報告書をまとめた。空洞など何らかの問題が確認された樹木は8割に上り、市は今後の維持管理に報告書を役立てていく。

 南砺市内には森林だけでなく、神社仏閣や民家にも多くの巨木があり、住民は古くから木と深い関わりを持って暮らしてきた。日本樹木医会県支部会員で同市杉尾(平)の樹木医、吹上幸司さん(56)から市内の天然記念物の樹木を調べたいとの提案を受け、同支部で調査に取り組んだ。

 調査の対象としたのは、市が発行する「指定文化財ガイドマップ」に記載されている国指定1件、県指定2件、市指定25件の計28件。同じ場所で複数の樹木が指定されているケースもあり、本数は32本に上った。集団で指定されている樹木は除いた。昨年5〜11月にかけて延べ40人の樹木医が現地調査し、樹形や樹勢、普段の維持管理や周囲の環境などについて調べた。

 11種類が確認され、スギが14本で最多、サクラとケヤキが共に4本と続いた。空洞や腐朽が進んだものが多く、診断で「要治療・対処」とされたのは15本に上り、「経過観察」も10本あった。民家近くで倒木の危険性が高い樹木もあり、早急な調査と対策を講じる必要があるとした。

 山本支部長と吹上さんは報告書を市に提出し、此尾治和市文化・世界遺産課長は「状態が把握しづらい樹木を維持管理する上で、大きな助けになる。大変ありがたい」と話した。

 調査では状態の良くない樹木があった一方、所有者の熱心な世話により見事に成長した樹木も見つかった。吹上さんは報告書をまとめたことについて「樹木への調査や対処が進むだけでなく、木を管理する住民たちの励みになればいい」と話していた。

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