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名作欄間の下絵発見 井波彫刻師の高桑さん
 
2019年4月25日 南砺市 地域・社会






 井波彫刻の住宅欄間の父とされ、明治〜大正期に活躍した初代大島五雲(1861〜1937年)が手掛け、サンフランシスコ万国博覧会に出品した欄間「清梅春蘭」の下絵が見つかった。砺波市東石丸の井波彫刻師、高桑時夫さん(61)が知人から譲り受けた大島家にまつわる資料の中にあった。高桑さんらが欄間を収蔵する高岡工芸高校を訪れ、図案と欄間を確認した。

 初代五雲は寺社彫刻が中心だった井波彫刻で住宅欄間を開発し、井波彫刻が普及する礎を築いたとされる。「清梅春蘭」は縦約30センチ、横約120センチ。咲き誇る梅と蘭を精巧に彫り、余白を巧みに使って絵画のように表現している。1915年のサンフランシスコ万博出品後、勤務経験のあった県立工芸学校(現・高岡工芸高校)に収められた。

 高桑さんは約20年前、知人から初代五雲の父と初代〜4代五雲の資料をまとめて譲り受けた。1860年〜1940年ごろまでの下絵が約千枚あり、以後、五雲の研究に取り組み下絵の整理を続けてきた。

 「清梅春蘭」の下絵は3枚に分かれており、墨で何度も描き直した跡があった。高桑さんと、パブリックアート研究家の松尾豊さん(66)=高岡市城東一丁目=が欄間を収蔵する同校青井記念館美術館を訪れ照らし合わせたところ、欠けたとみられる部分はあったが作品の大きさや図柄が下絵と一致した。高桑さんは「五雲の欄間の中でもレベルの高い作品。100年以上前に制作され、海外でも披露された作品と下絵を確認できて良かった」と話している。

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