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古代の銅鈴が県内初出土
 
2019年8月19日 小矢部市 地域・社会






 小矢部市芹川の田んぼから、9世紀後半の青銅製の鈴「銅鈴(どうれい)」が発見された。市教育委員会によると、県内で古代(飛鳥〜平安時代)の銅鈴が確認されたのは初めて。銅鈴は祭祀(さいし)に使われたと考えられている。市教委は「宗教施設が置かれるなど、重要な場所だったのではないか」とみており、一帯を「芹川遺跡」と名付けた。

 一帯からはこのほか、五重の塔を粘土で模した「瓦塔(がとう)」や、円形のすずりの破片も出土した。瓦塔は小規模な仏堂などに収められていたとみられ、これも宗教施設の存在を示す。すずりは須恵器で作られており、文字を読み書きできる役人、宗教者らがいたことがうかがえるという。市教委はこのほど、芹川遺跡に関する研究成果をまとめた。

 芹川での発掘調査は、県の大規模なほ場整備事業が計画されたことを受け、2015年から実施。簡易調査で須恵器や土師器(はじき)が広範囲に埋まっていることが分かった。16年は2万9407平方メートル、17年は1万3650平方メートル、18年は市道の拡幅工事に伴い363平方メートルを対象にそれぞれ発掘した。

 その結果、100点を超える遺物が確認され、出土品の形式から主に8〜9世紀の奈良〜平安時代にかけてのものと判明した。

 銅鈴は直径2・95センチの球形。18年度の調査でほぼ原形をとどめた状態で見つかった。古代の銅鈴は祭りなど宗教儀式と関わりがあったとされている。

 芹川遺跡は、市内で206カ所目の遺跡となる。市教委生涯学習文化課の大野淳也課長補佐は、すずりが発見されていることも踏まえ、「芹川遺跡の一帯は農村ではなく、役人もしくは宗教者がいてこの地域では重要な場所だったと考えられる」と話している。

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