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謎のY字材どう使った? 桜町遺跡から出土
 
2019年11月21日 小矢部市 地域・社会






■穴山さん(富山大名誉教授)が四つの仮説
 小矢部市の桜町遺跡から見つかった謎の出土品「Y字材」はこう使われた? 富山大名誉教授の穴山彊(つとむ)さん(82)=射水市中太閤山・小杉=がいまだ明らかになっていないY字材の用途に関し、川から木を持ち上げるクレーンの機能や研磨台など四つの仮説を考えた。20日は小矢部市内で、市民有志でつくる「桜町石斧(せきふ)の会」と研磨台として実際に試し、縄文人の暮らしに好奇心を膨らませた。

 Y字材(長さ2・5メートル、重さ150キロ)はクリの木材で、1997年に桜町遺跡の縄文中期に当たる4千年前の地層から2本見つかった。全国でも類を見ない出土品で、祭礼などに使われた可能性があるが、現在も用途は分かっていない。

 栽培学が専門の穴山さんは歴史ファンで、発掘当時からY字材を知っていた。今夏に桜町石斧の会が開いたY字材に関するイベントの新聞記事を読み、使い方に想像を巡らせた。

 同会と連絡を取り、情報を交換しながら四つの仮説を立てた。川からの丸太の陸揚げに利用されたと考えたほか、Y字材の二股部分は表面が削れていることから石器を研磨したり大縄をなうために使われたのではないかとみる。穴山さんが有力とするのはY字材を逆さまにし、くいやロープを用いたクレーンとしての機能だ。穴山さんは「子どもの頃に戻ったように次々にアイデアが出て楽しかった」と笑みをこぼす。

 20日は小矢部市の桜町JOMONパークに穴山さんと同会のメンバーが集まった。Y字材のレプリカに海砂と水をまき、蛇紋岩を削って研磨台としての使い方を試した。同会の山本護会長は「夢とロマンがある取り組み」と声を弾ませた。

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