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井口さん木彫刻の技継承誓う
 
2020年4月10日 南砺市 くらし






 南砺市の井波彫刻士、故・初代井口●(しゅう)月さんを祖父に持つ井口里華さん(24)が今春、彫刻士としての一歩を踏み出した。一度は企業に就職したが、一念発起し、かねてから関心があった伝統工芸の世界に飛び込んだ。9日に同市の井波木彫刻工芸高等職業訓練校の入校式があり、「知識と技術の継承に努めたい」と誓った。

 井口さんは南砺福野高校を卒業後、砺波市内で農業や自動車関係の仕事に就いた。地元の井波地域では街の至る所にあった彫刻の価値に外に出てから気付き、「井波の伝統を重んじる雰囲気に魅力を感じた」と言う。

 神社仏閣を見るのが好きで、次第に「自分でも仏像を彫ってみたい」という思いが湧いた。幼い頃から祖父、●月さんの工房で仕事を見ていたことから親しみもあり、「後悔したくない」と、彫刻士の道を志した。

 現在は親方の中田啓一さん(65)=南砺市中ノ江(福光)=の工房で、住み込みで修業している。5年制の職業訓練校には週1回通い、デッサンなどの基礎を学ぶ。

 中田さんは初代●月さんの弟子で、井口さんのまたいとこに当たる。既に弟子がいるため、井口さんを引き受けるか悩んだが、「師匠の●月さんに恩返ししたかった」と弟子入りを認めた。「自分のペースで頑張ってほしい」とエールを送る。
(●は王へんに秀)

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