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北日本新聞ニュース

スペイン風邪記す木札発見
 
2020年4月23日 砺波市 くらし






 砺波市野村島の桑野神社の奉納額の裏側から「悪疫流行之(の)為(ため)中止 大正九年八月十六日」と書かれた木製の札が見つかった。100年前の当時猛威を振るったスペイン風邪で境内の相撲大会が中止となったことを記した札とみられる。見つけた宮司の野村泰則さん(76)は「新型コロナウイルス感染が広がる今、この札が偶然出てきたことに不思議な縁を感じる。本来の場所にまつりたい」と話している。
 木札は縦40センチ、横10センチ、厚さ1センチ。3月末、野村さんが春祭りを前に幣殿を掃除した際、奉納額の裏側に置かれているのに気付いた。

 社殿外側の壁には、明治から昭和のお盆の相撲大会の上位力士を大関として顕彰した木製の名札が約80枚飾られている。大正9(1920)年の大関の名札が見当たらないことから、今回見つけた札は風などで落ちた後、額の裏に一時的に置かれた可能性がある。野村さんは宮司を先代から継いで30年以上になるため、少なくともそれ以上の年月は経ているようだ。

 同年は日本でスペイン風邪が流行して3年目だった。その3年間で国内で40万人近い死者が出たとされ、とても相撲大会を開くことはできなかったようだ。野村さんは見つけた札を元々あった所に掛け直すといい、「スペイン風邪の被害は今の新型コロナ以上に深刻だったのではないか。決して遠い昔のことだとは思えない」と話している。

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