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伝統の朝市、営業ただ1人に 井波の八日町通り
 
2020年11月19日 南砺市 地域・社会






 南砺市井波地域中心部の八日町通りで江戸時代初期から続く伝統の朝市が、今年から出店者が1人しかいない状態が続いている。高齢化の影響で店を出す生産者が少なくなったためだ。同地域では3と8の付く日に朝市が開かれる習わしが根付いており、住民からは「出店者が1人でも増えて盛り上げてほしい」との声が上がる。

 八日町通り町内会が1991年に発行した「八日町の歴史」などによると、同通りの市場は1650年代には既に開かれていたという。1970年ごろまでは15店以上が並び、門前町のにぎわいをつくっていたが、出店者は年々少なくなっていた。

 店を出しているのは南砺市野新(福野)の農業、橋爪忠則さん(72)。通りにある「蕎麦(そば)懐石松屋」の前で旬の野菜や切り花を販売している。昨年末に同市谷(井波)の前川よ志子さん(97)が高齢のため店を出せなくなったことから、今年から1人になった。

 18日は午前5時15分ごろから野菜を並べ、常連客約10人を迎えた。40年近く通っている同市北川(井波)の上田朝子さん(77)はハクサイやナス、キャベツを袋に詰め、「健康に気を付けて少しでも長く続けてほしい」と話した。

 橋爪さんは「1人になってやめようと思ったが、お客さんから『来てほしい』と言われて店を出している。元気なうちは続けたい」と言う。軒先を貸している松屋の前店主、西川外茂治(ともじ)さん(83)は朝市の伝統を絶やしてはいけないとし、「『店を出したい』という人が増えてくれるとうれしい」と期待している。

 八日町通りの朝市は6月3日から12月28日まで開かれる。橋爪さんは毎月6回、3と8の付く日に午前5時半から同6時まで出店している。

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