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屋敷林、17年間で1万本減
 
2021年2月26日 砺波市 くらし






 砺波市内の屋敷林の本数が、昨年までの17年間で15%に当たる約1万本減ったことが市の調査で分かった。台風などで倒れたり、手入れが難しくなって伐採されたりしたためとみられる。市は調査結果を基に2021年度、せん定枝処理の負担を減らすなどの支援に力を入れる方針で、屋敷林の保全に取り組む市民団体も対策の必要性を訴える。

 屋敷林の調査は17年ぶりで、20年5〜8月に市内全21地区でおおむね高さ3メートル以上の樹木を対象に実施。4773世帯で計12万3647本を確認した。03年に調べた17地区で比べると、樹木数は7万543本から5万9911本へと1万632本(15・1%)減り、所有世帯は1900から1802世帯へと98世帯(5・1%)減った。

 今回から調査項目に加えた「屋敷林の外観」では、屋根を超える高い木が隙間なく主屋を囲むような昔ながらの屋敷林は2割ほどしかなく、屋根の高さを超えない中低木が大半という家が4割弱と多かった。

 本数が大きく減った地区はこの17年間で台風や暴風による倒木被害を受けており、倒木後に植樹しなかった家が多かったようだ。所有者の高齢化で枝打ちなどの手入れができず、伐採して本数を減らした家も多いとみられる。所有者からは「野焼きできず落ち葉や枝の処理に困っている」との意見が最も多かった。

 屋敷林の減少について、砺波カイニョ倶楽部の高畑邦男代表幹事(71)=砺波市秋元=は、屋敷林のせん定枝が燃料として使われなくなるなど生活様式が変わったことや、高齢化が背景にあると指摘。「所有者だけで手入れできず、このままではさらに本数が減ってしまう。近所など小さなグループで手伝える仕組みが必要ではないか」と話す。

 市は21年度、自治会ぐるみで収集したせん定枝の処理費用を無料化して再資源化する事業をスタートさせるほか、20年度に始めた戸別の有料回収についても対象世帯を市内全域に広げる。調査を担当した市農地林務課は「維持管理にかかる負担を軽減し、屋敷林保全につなげたい」としている。 

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