毎年4月29、30の両日に砺波市中心部の出町地区で行われる県無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)祭」の3年ぶり開催に向け、来年の当番町となる東の住民が稽古に励んでいる。230年以上の伝統のともしびをつなぐため、浄瑠璃の語りを担当する太夫らは「2年分の思いを込めて盛り上げたい」と意気込んでいる。
祭りは出町神明宮の春季祭礼。昨年は新型コロナウイルス感染防止のため中止とし、今年は曳山の展示など代替事業の実施を模索したが、感染リスクを考えて断念した。
東、中町、西町の3町が持ち回りで曳山を出して奉納しており、来年は東が担当する。華やかな衣装をまとった児童が曳山の上で歌舞伎を演じ、太夫や三味線奏者が浄瑠璃を上演する。
9日夜は、太夫の高畠文夫さん(53)、渡辺敦志さん(43)、井田倭人さん(25)が、同市中央町の料亭「覚右衛門」で、場面に応じた発声や節回しなどを確認した。
子ども役者は12月下旬に配役が決まり、年明けから稽古を行う予定。
約2年前から語りを学ぶ渡辺さんと井田さんは「太夫として本番に出演できるよう日々の練習を頑張りたい」と口をそろえる。2人の指導も行う高畠さんは「来年開催することができたら、力を合わせて良い舞台にしたい」と話している。
今月23日には、同市の出町子供歌舞伎曳山会館で出町浄瑠璃大会が開かれ、3町の太夫や三味線奏者らが日頃の成果を披露する。
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