第60回 おおちからもちのおこどん(2/2話)
それから一週間ほどたったある日、刀を腰に差した男が三人連れでおこどんの元へやってきて言いました。 「この前はよくもわしらに恥かかせたな。今日はお前を斬って、お前の首を金沢へ持って帰るために来た。さあ、覚悟して出てこい」 おこどんは心の中で、「あんなことくらいで腹を立てて、つまらん奴どもじゃ」と思いましたが、 「そんなら相手になろう。ここでは家の者が迷惑じゃさかい、向こうの森のそばまで来てもらおう」 と、森の方まで連れていき、いきなり、大きい杉の木を一本根っこごと引き抜き、それを脇にかかえこんで三人に立ち向かいました。侍たちは刀を抜いて、「やあっ」と斬りつけようとしましたが、おこどんの側へ寄りつく前に、杉の根っこで押し倒されてしまいました。将棋倒しになった三人に、おこどんは大笑いしながら、 「弱虫どもめ。もうここへは二度と来るな。早らと金沢へ帰って、城の石垣作りを手伝った方がよいぞ」と言ってやりました。三人は、這うようにして動き出して、一目散に逃げ帰っていきました。 まもなく、力持ちのおこどんの評判が殿様の耳に入り、お城からおこどんの家に使いの者が来て頼みました。 「殿様のご命令でそなたを迎えにやってきた。どうかお城の石垣積みの手伝いをしてくれ」 おこどんは、お国のためにお城で働こうと考え、身支度をして、使いの者と一緒に金沢へ行き、それから石垣を積む仕事に精を出しました。 今でも城跡には、石垣の中におこどんの積み上げた石がいくつも残っているそうです。 ―おしまい―
このお話は、福光地域公立保育園の保育士が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
|
|
/DBIMG/COLUMN/densetsu_132_1.jpg
大きい杉の木を一本根っこごと引き抜き…
大きい杉の木を一本根っこごと引き抜き…
|