第72回 石動の花山車のいわれ(2/2話)
殿様はたいそう喜ばれ、その代わりに藤の木の枝にかかっていた物と同じ物を作り、「翁の面と鼓と笛」と「その前を飾る千枚分銅と紋章菊の鳥居」を町の人たちに授けました。 「立派なもんだな。これは町の宝物としてしまっておこう」 町の人は大変喜びました。 そこで、せっかくこの様な素晴らしいものをいただいたのに、 「しまい込んでおくのはもったいない。町の人みんなに見てもらったらよいな」 ということになりました。 「何かいい考えはないかなあ」 「そうや、高岡の御車山のような物を作り、鼓や笛などを御神体として掲げ、町を練り歩いたらどうだろうか」 こうしたことから、曳山を作ることになりました。これが、石動の花山車(曳山)のはじまりであると伝えられています。 現在、御坊町(現在の小矢部市八和町)の曳山は花山車の中で最も古く、加賀の前田の殿様よりいただいたものが依代となっています。 毎年、愛宕神社の春祭りの四月二十三・二十四日には、十一台の豪華絢爛たる花山車が曳かれる「曳山祭り」が繰り広げられています。現在は四月二十九日「昭和の日」に変更になっています。 ―おしまい―
※このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正のうえ、掲載しました。
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「鼓や笛などを御神体として掲げ、練り歩いたらどうや」
「鼓や笛などを御神体として掲げ、練り歩いたらどうや」
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