第103回.おらが村蟹谷(2/2話)
知恵がある八講田の和尚さんも、村の人たちと一緒に山奥にある溜め池に向かいました。 するとやはり化け物が出てきて、同じように叫びました。 「わしの正体は何じゃ。答えてみろ」 「お前の正体は蟹じゃ。蟹の化け物であろう」 和尚さんはすぐにそう言うと数珠で化け物を殴りつけました。 「エーイ、エイ、カッーカッー」 化け物は「ギャー」と言って、悶え苦しみながら池に沈んでいきました。 翌朝、近くを流れる五郎丸川に、橋のようにまたがった蟹の化け物の死骸がありました。 こういうわけで、この村の化け物は知恵のある和尚さんによって見事に退治され、平和な村になりました。 以来、この村のことを「蟹の谷」と書いて「蟹谷」と言い、五郎丸川に架かっている橋を「蟹懸橋」と言うようになりました。 また、大人八人が伏せたほどの大きな蟹だったことから、奥の山のことを「八伏」と言うようになり、現在もそう呼ばれています。 ―おしまい―
●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた 『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
|
|
/DBIMG/COLUMN/densetsu_220_1.jpg
和尚さんは数珠で化け物を殴りつけました
和尚さんは数珠で化け物を殴りつけました
|