第105回.月夜のかわうそ(2/2話)
善太は勇敢に追いかけました。そして川岸まで来た時、金色の光はいっそう大きくなり、「うぅう」と吠える声がしたと思うと、川へどぶぅーん。その後を追ってきた善太も、思わず川へどぶぅーんと飛び込みました。 善太は正気に返ると、やっとの思いで家までたどり着き、全身濡れねずみのことも忘れて、布団を被って朝まで震えていました。 一夜明けて、その話を聞いた村人たちは、なにか変わったことはないかと川岸の辺りを見回りました。 「おっ、あれはなんだ!」 おそるおそる近寄ってみると、沢山の木の葉の上にかわうそがいました。水から上がってまだ間もないとみえて、濡れた毛を乾かすように横たわっていました。 「人をだますかわうそがいると聞いていたが、こいつだな」 「満月の夜に悪さをするかわうそだ!」 村長はお達しを出しました。 「正体が判ったからには、満月の夜には気を付けるように」 それから、「月夜のかわうそ」の話は、親から子へと代々伝えられたそうです。 ―おしまい―
●このお話は、「砺波市立図書館 友の会」が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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後を追ってきた善太も、思わず川へどぶぅーん。
後を追ってきた善太も、思わず川へどぶぅーん。
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