第77回 きんのわさび(2/2話)
小塚様は、家来と一緒に風呂敷いっぱいにわさびを採って担いで帰りました。宿についた頃、あたりはすっかり暗くなっていました。 部屋で風呂敷を広げてわさびを数えてみると、途中で落としてきたのか、あんなにたくさん取って来たわさびが、たった三本しか残っていません。その三本のわさびを手に取って行灯のあかりでよく見ると、それはとても見事な金のわさびでした。 「これはすごいぞ。金のわさびだ」 「こんなわさびは今まで見たことがないですね」 小塚様も家来もびっくりし、さっそく珍しい宝物をお殿様に見せるために、金沢のお城へと急ぎました。 城に着いた小塚様は、三本の金のわさびをお殿様に差し出しました。 「殿様、福光の医王山で、こんな珍しい金のわさびを見つけてまいりました」 「これは珍しいわさびじゃ。小塚、よく見つけたな」 金のわさびを見たお殿様は大変喜ばれました。 そして、まだ金のわさびがないかと、祖谷の村の役人たちに山を探させました。けれどもどこをどう探しても、金のわさびの出る所は分からなかったということです。 これは枝状金(しじょうきん)といって、木の枝のように細くつながった金の塊であったといいます。 ―おしまい―
このお話は、福光地域公立保育園が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「これはすごいぞ。金のわさびだ」
「これはすごいぞ。金のわさびだ」
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