第34回 こま回しのなべ六
これは砺波市太田に伝わるお話です。
昔、太田に、なべ六というこま回しがいました。 子どものころから、手先が器用だったなべ六は、やがて手品やこま回しをしながら、日本中を旅するようになりました。 そして、彼の名はだんだん有名になっていきました。
ある年のことです。成田山のお寺(※1)で、日本中のこま回しが集まる大会がありました。 大会はどんどん進み、いよいよなべ六の番になりました。
なべ六は、心をこめて綱を巻き、「エイッ」とこまを回しました。 すると、こまはまるで足でもはえたように、石段をトントントントンと、一段一段登っていくではありませんか。 そして石段を全部登ってしまっても、まだ勢いよくこまは回っていました。
これをご覧になられた将軍は、 「みごとみごと、なべ六のこまは日本一。」 とおほめになり、 「これからは、成田山にちなんで成田と名乗れ。」とおっしゃいました。
こまを回しながら、日本中を旅して歩く「成田なべ六」の名は、ますます有名になりました。 −おしまい−
※1 成田山のお寺・・・現在の千葉県成田市にあるお寺。不動さんとお守りで名高い。
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絵・『庄南むかしばなし』より
絵・『庄南むかしばなし』より
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