第40回 法師の夢塚(2/2)
「世の中の秋田刈りまでなりぬれば つゆも我が身もおきどころなし」 雅楽器二品を埋めたのは、平和な時代を願ってのことでしょうか。 「おかしな夢やったなぁ」 目が覚めて、市右衛門は不思議な夢のことを安居寺の良宥(りょうゆう)住職に話しました。すると住職はこう言いました。 「昔、兼好法師(※1)という歌人が都から逃れ、しばらく安居寺に留まっておられたことがあった。その時に詠まれた和歌と同じものです」 夢の中のお坊さんは、兼好法師だったのでしょうか。 住職と市右衛門は相談して、この二つの品を埋め直して塚を作り「秋の田塚」と名付けたそうです。これが、安居寺にある兼好法師の夢塚です。この塚は「長者塚」や「黄金塚」ともいわれ、安居寺の宝物を埋めた所とも伝えられています。 ―おしまい―
※1兼好法師・・・吉田兼好。鎌倉時代に活躍した歌人。『徒然草』の作者。
このお話は、南砺市福野地域のひまわりグループが制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「二つの品は、私が昔、ここに埋めたものです」
「二つの品は、私が昔、ここに埋めたものです」
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