第92回 おさるの顔はなぜ赤い(2/2話)
「ここは峠やさかい、寝とる間に越中の坂へ転がっていったがや」 「それなら、暗くならないうちに越中に下りて行こう」 気のいい三人の男たちはそう言うと、峠を下って行きました。 さて猿たちは山の上でお月様の出るのを待って、男たちから奪った道具で餅つきを始めました。 つきたてのお餅を我先に食べようと、三匹の猿たちは一度に臼の中に頭を突っ込みました。そのうち猿たちはけんかをし始め、臼と一緒にゴロゴロと坂を転がり出しました。そして餅を顔にくっつけたまま転がり落ちていきました。 「あちちちち、目がまわる」 「もうだめだ。餅が取れないよ」 「もういたずらしませんから、助けてください」 猿たちは泣き叫びながら言うと、顔にくっついていた餅はいつの間にか取れていました。そして猿は顔に大やけどをしました。 それから猿の顔がこんなに赤くなったということです。 ―おしまい―
●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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猿は顔に大やけどをしました。
猿は顔に大やけどをしました。
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