第69回 大ねずみ退治(2/2話)

伊兵衛は少しも慌てることなく、「えい!」と、とっさに怪物の首筋あたりをひっつかんで二度・三度と地面に投げつけました。一方怪物もひるまず、伊兵衛に噛みつこうと飛びかかってきたので今度は蹴っとばすと、素早く肩、背中、胸のあたりに噛みついてきました。 伊兵衛は、「痛たたたー。なにくそー」と、怒りに燃えて首筋をわしづかみにして振り回しました。そして、ありったけの力で締め上げました。 「どうだ、まいったか」 さすがの怪物の伊兵衛のガン力には勝てずに死んでしまいました。 ところが不思議なことに伊兵衛の懐の猫も死んでいました。 「これはどうしたことじゃー」 伊兵衛は退治した怪物を村に持ち帰り、村人に見せました。村人たちは「わあー、なんと大きなねずみじゃー」と驚きの声をあげました。顔が十二〜十三センチ、身の丈四十五〜四十六センチ、首にかけて七十センチあまり、しっぽは実に六十センチは楽にある、「これがねずみか」と疑いたくなるような奴でした。 その後、この村の猫たちは被害に遭わなくなったということです。 ―おしまい―
※このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正のうえ、掲載しました。
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伊兵衛の膝あたりに飛びついてきました。
伊兵衛の膝あたりに飛びついてきました。
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