第22回 人形山ものがたり(2/3話)
「おっかあ、だいぶようなったか。あんばい(※1)はどうじゃ」 「もったいないことじゃ。だいぶ楽になったがよ」 そのかいあって、不思議にもあれほど重かった母の病が目に見えてよくなり、やがてすっかり元気を取り戻しました。感謝でいっぱいの娘二人は、お礼参りをするため、秋の天気の良い日を選び、山頂の権現堂を目指して高く険しい山を登ることにしました。 「もったいないことじゃ。だいぶ楽になったがよ」 そのかいあって、不思議にもあれほど重かった母の病が目に見えてよくなり、やがてすっかり元気を取り戻しました。感謝でいっぱいの娘二人は、お礼参りをするため、秋の天気の良い日を選び、山頂の権現堂を目指して高く険しい山を登ることにしました。 ところがこの山は、女の人が登ってはいけないと伝えられている女人禁制の修験道(※2)の霊山だったのです。そのわけも知らず登った二人はようやく山頂にたどり着きました。 「権現様、おかげさんでおらち(※3)のおっかあの病もようなって、本当にありがとうござった。これからも三人仲よう暮らすで、見守ってくりやっさり(※4)」 と手を合わせました。
−つづく−
※1あんばい・・・身体の具合、様子。 ※2修験道・・・日本古来からの山岳信仰と、仏教の密教、道教などが結びついて成立した宗教。 ※3おらち・・・私たち ※4くりやっさり・・・くださいませ
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権現様 「病は必ず治る」
権現様 「病は必ず治る」
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