第14回 やりのさきのみず (1/4話)
南砺市広瀬舘の城ヶ山に槍の先という所があり、そこへ行くと「ドーン、ドーン」というものすごい音を出して水が流れ落ちています。その中に手を入れると、氷を持っている様に冷たく、夏でもひんやりしているので、大変おいしい飲み水として村の人からとても大事にされています。 これからその水がどうして出る様になったのか、お話しましょう。 今から四百年ほど昔、越中(富山)の国を佐々成政という殿様が、また加賀(石川)の国を前田利家という殿様が、各々の国を守っていました。前田の殿様は自分の国をもっと広くしたいと考えていました。 前田 「越中では甘くてうまい干柿や、病気によくきく薬を沢山作っておる。何としても成政の国をわしのものにしてやるぞ」 と、前田の殿様が家来に話しているのを聞いた富山の薬売りは、急いで成政に知らせに行きました。 家来 「殿、前田の殿様は沢山の家来を連れ、すぐにも越中を攻めに来るかもしれません」 成政 「それは大変なことじゃ。むこうから攻めてこないうちに、こっちから加賀へ戦いをしかけよう。我らの国を守るのじゃ!」 家来 「ははー、かしこまりました」 さっそく家来は戦いの仕度を始めました。成政の奥さんもやって来て、 奥方 「殿、私もお供して、皆のお世話を致しましょう」 成政 「うむ、たのむぞ。みなの者、出発じゃ」 家来 「ははーっ」 馬にまたがった成政を先頭に、家来や奥さんたちは加賀へ向かって出発しました。山を登ったり降りたりしてへとへとになった成政たちのまえに早くも鎧、兜を着けた前田軍が待ちかまえていました。 成政 「皆の者、前田の殿様をやっつけるぞー」 家来 「エイ、エイ、オー」 −つづく−
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「何としてもわしのものにしてやるぞ」
「何としてもわしのものにしてやるぞ」
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