第76回 力神様のいわれ(1/2話)
小矢部市の南谷地区、国道471号線を北上すると石川県境の手前に嘉例谷(かれいだに)という地区があります。この嘉例谷と宮島の間に下山(しもやま)という山があります。 その昔、この山は氷見から能登へ抜ける能登街道の通り道として栄えていました。しかし、この山の峠茶屋あたりは山賊が旅人を脅したり、谷底に突き落としたりする、とても物騒な所でした。そこで村の人たちは、山賊が出なくなるような良い手立てはないかと考えました。 「どうしたら山賊が出なくなるかなあ」 「そうやなあ。ここに石の仏様を作って、見ててもらったらどうだろう」 「それはいい考えだ。ぜひそうしよう」 「どうせ作るなら、強そうな仏様の方がいいな」 こうして、ちょうどお相撲さんが座っているような格好をした石仏を作ることになりました。 その後、峠茶屋あたりに石仏を立ててからは、さすがの山賊もその前では旅人に手が出せず、やがて姿を消しました。そして馬の鈴音が響くような、のどかな往来の地になりました。 この石仏の噂はいつの間にか付近の村にも広まり、他の村の若者たちが、この石仏を譲ってほしいと競ってやってくるようになりました。しかしどの村の若者たちも、この石仏を持ち上げることができませんでした。 −つづく−
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「嘉例谷で安らかに暮らしたいのじゃ…」
「嘉例谷で安らかに暮らしたいのじゃ…」
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