第36回 杉の峠のおたすけじぞう(2/2話)
北のおじいさんは、声のするほうへ急ぎました。 「たしか、この辺じゃなかろうか?」 でも辺りは一面の雪野原で、なにも見当たりません。そしてまた、「おーい、おーい」という声が聞こえてきました。 「むむっ。あっちか?」声のほうに目をやると、お地蔵様の赤いまえだれが落ちているではありませんか。そして、そばに倒れた旅人の姿をみつけました。 「あんにゃ(※1)、どもせんかい?しっかりせい!」 すると旅人は息をふき返し、なんとか無事に助かったのです。 このように、どこからともなく聞こえる呼び声で、人が助かったということが何度もありました。村の人たちは、「きっとお地蔵様が助けを呼んでくれたがや」とうわさをして、お地蔵様に感謝しました。 明治三十三年に、村の人たちはお堂を建てて、お地蔵様をお祀りするようになりました。 上梨の人たちは今でもお花を供えたり、まえだれを着せてあげたりして、大切にしておられるそうです。 ―おしまい―
※1あんにゃ・・・あなた
このお話は南砺市立平図書館が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「あんにゃ、どもせんかい?しっかりせい!」
「あんにゃ、どもせんかい?しっかりせい!」
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