第99回 桐の木の御神体(1/2話)
小矢部市鷲島にある、鷲尾神社に伝わるおはなしです。 昔、小矢部川と庄川が合流して一つの川となっていました。少し雨が降るといつも洪水が起こり、村に大きな被害をもたらしていました。 ある朝、村人が田んぼの水を見に行った時のことでした。 「変だなあ。田んぼの水が全然来とらん。用水の取入口に何か詰まっとるがやろうか」 見に行ってみると、案の定、用水の取入口に何か詰まっていました。 「おー、なんと大きな切り株じゃ。こんなもんで塞いどったがか。水が来ないのは当たり前じゃ。早く取り除かんなん」 村人は腰に着けていた鎌を取り出し、「エッイ!」と打ち込みました。すると突然、その切り株から真っ赤な汁が吹き出してきました。 「こ、こりゃ、なんじゃ。まるで血みたいじゃ」 村人は慌てて腰の手拭いを切り株に当てました。しかし止まるどころか、ますます勢いを増して止まる様子がありません。どれだけそんな状態が続いたでしょうか。ハッと正気に戻った時には、赤い汁は止まっていました。そして恐る恐る傷口を調べましたが、何も見つかりません。 何かとてつもない力を持っている切り株ではないかと思った村人は、それを家へ持ち帰ってみんなに見てもらおうと思いました。 やっとのことで重い切り株を家に持ち帰り、村の衆を集めて見てもらいました。 −つづく−
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切り株から真っ赤な汁が吹き出してきました。
切り株から真っ赤な汁が吹き出してきました。
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