第101回 木鐘で鳴らん(1/2話)
これは、小矢部市の宮島に伝わるお話です。 この村の真ん中に大きな寺がりました。財産が多くて何でもあるお寺でしたが、釣 鐘だけがありませんでした。 そこで門徒衆が集まり、釣鐘を買うことに決めました。今度のほんこさん(※1)で撞き初めをしようということになり、門徒衆からお金を集めることになりました。 村一番のおやっさま(※2)の家で、寄合が開かれました。 「釣鐘を買いにいくのは、正直者でなければあかんぞ。門徒で一番の正直者は誰じゃ」 おやっさまはみんなに聞きました。そして村一番の正直者で働き者の太郎平が買いに行くことになりました。 太郎平は大きな袋に門徒衆から集めた銭を入れ、京の町へ行きました。 今までこんな繁盛な町を見たことがなかった太郎平は景色に見とれ、釣鐘を買うことをすっかり忘れてしまいました。おいしい物を食べたり、酒を飲んだりし、ついに銭はわずかになってしまいました。 −つづく−
※1ほんこさん・・・他から頼まれた恩に対して感謝するおまいり(報恩講) ※2おやっさま・・・村のえらい人
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「門徒で一番の正直者は誰じゃ?」
「門徒で一番の正直者は誰じゃ?」
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