第31回 瓜裂しょうず(2/2話)
この不思議な出来事に、村人の中から「おお」と大きなどよめきがわき上り、誰からともなく、「ナンマンダブツ、ナンマンダブツ…」と口々に念仏を唱え始めました。村人の唱える念仏の輪は、やがて大きく大きく、あたりに広がっていきました。 そして村人の一人が上人におあげしようと、持ってきた瓜をその冷たい清水に冷やしました。 すると瓜が大きく二つに裂け、冷たくて、見るからにおいしそうになりました。上人は大変喜んでお召し上がりになりました。 そうして、その清水は瓜がひとりでに割れたことから、「瓜割清水(うりわりしょうず)」と名づけられました。 その後、瓜裂清水のまわりには緑の木々が植えられ、村人や街道を旅する人のために休憩用の腰かけも置かれ、村人の大事な憩いの場となりました。そして近くに住む百姓の久蔵(きゅうぞう)が進んでここの掃除番を引き受けるようになりました。 やがて綽如上人の尊い教えは、近くの村々にだんだん広まっていきました。 そしてしばらくの後、井波に立派な御坊が建てられました。これが瑞泉寺の始まりです。
―おしまい―
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瓜はひとりでに大きく二つにわれ…。
瓜はひとりでに大きく二つにわれ…。
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