第41回 弁財天社のほこら 其の一(1/2話)
庄川の舟戸ダムの下流、雄神橋の西のたもとに、弁財天社というお宮さんがあります。むかしから庄川の下流の村々を洪水から守る水神(みずがみ)様として祀られ、三十三年ごとにご神体を開帳して盛大にお祀りしています。
今からおよそ四百年前のことです。 飛騨の国や越中の国に大地震がありました。庄川の上流のあちこちで山がくずれ、谷が埋まり、それはそれは大変なことになりました。川が氾濫して岸辺の家は流され、村の人たちがたくさん犠牲になりました。下流の村々も今にも流されそうになり、人々は急いで増山(※1)などの東の山に、着の身着のまま避難しました。 越中の国の殿様・前田利長公は、すぐに被害を調べるために、自ら家来を引き連れて早馬で庄川のあたりへ駆けつけてこられました。 水はゴウゴウとうなりを上げ、渦をまいて濁流となって下っていきます。そのとき上流に一つの小さな島が見えました。緑の木々に覆われたこの島が、流れに負けずに残ってくれたおかげで、下流の被害はこれ以上増えませんでした。島が下流の農家の人々を大洪水から守ってくれたのです。 −つづく−
※1増山・・・砺波市増山
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「神のご加護があったにちがいない」
「神のご加護があったにちがいない」
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